ポリマーとは? 「ポリマー」という言葉は、プラスチックや他の材料を表すためにしばしば使用されます。ポリマーとは、文字通り訳せば「多くの単位」という意味です。その個々の単位は「モノマー」と呼ばれるもので、プラスチックの構成単位です。プラスチック製品を形成する際、これらのモノマーは科学的変化を経て互いに結合します。
プラスチック(ポリマー)が安全かどうかは、どうすれば確認できますか? プラスチックが安全かどうかを見極める最良の方法は、どれだけ徹底的な試験が行われ、科学的試験と結論がどれほど信頼できるものかを知ることです。つまり、信頼性が高く、確実な試験方法を用いて、総合的な試験を実施することによりプラスチックを評価することが、ポリマーの安全性を測る最良の方法なのです。
安全性を考慮して、Tritanのようなプラスチック樹脂は、食品や飲料に触れる製品での使用が米国食品医薬品局により認められるまでに、さまざまな試験に合格しなくてはなりません。Tritanは広く認められた科学的手法を用いて、独立した第三者研究機関により十分な検査を受け、さらに全世界の規制当局から食品に触れる製品での使用を認められています。
BPA とは? ビスフェノール A(BPA)は、ポリカーボネートなど特定のプラスチックに使用されるモノマーです。またBPAは、金属面の腐食を防ぐために食品用の金属缶の内部用塗料にも使用されています。
Tritanの製造に、BPA 以外のビスフェノール類似体(BPS など)が使用されていますか? Tritanは、BPSやBPAと化学的に同質の他のビスフェノール材を使用して製造されていないため、これらの材料が含まれていると考える理由はありません。
TritanにはBPAが使われていますか? Tritanの製造において、BPA が原材料として使用されたことも、副産物として生成されたことも、これまでに一度もありません。BPA不使用のプラスチックであることは、広く認められている科学的手法を用いた厳しい検査により実証されています。
エストロゲン活性、アンドロゲン活性とは何ですか? エストロゲンとテストステロンは、動物およびヒトの性分化および成長など多くの重要な生物学的プロセスに不可欠なホルモンです。これまでの研究により、特定の合成化学薬品や天然の化学物質がこうした生物学的プロセスを阻害し、生物に悪影響を与える可能性があることがわかっています。
内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)とは、ヒトの内分泌系を阻害し、結果的にヒトの健康に悪影響を及ぼしかねない化学物質と定義されています。内分泌かく乱化学物質の中でも、動物の生体内においてエストロゲンに似た作用を起こすものを、それぞれエストロゲン活性 (EA) 、アンドロゲン活性 (AA) がある化学物質と呼びます。
独立した第三者研究機関が、広く認められた科学的手法を用いて、Tritanプラスチックにエストロゲン活性やアンドロゲン活性がないことを実証しています。
製品に記されている「7」 という表示は、BPA が含まれているという意味なのですか? いいえ、違います。また、製品の安全性を示すものでもありません。通常、この数字は、リサイクルマークの三角形の中央に記されています。「樹脂識別コード」と呼ばれるもので、リサイクル時に材料の選別をしやすくするものです。現在、使われている樹脂識別コードの「7」は「その他の樹脂」を表し、「1から6」までのコードによって規定されていないすべての樹脂を含みます。このため、同じコード「7」であっても、互いに全く類似しないプラスチックである場合が多く、Tritan、ポリカーボネート、ナイロン、さらには最新のバイオプラスチックもこの部類に属します。多くの有名メーカーが、Tritanを原料とした製品に 7 の表示を付けています。
エストロゲン活性に関するイーストマン訴訟とは、どのような訴訟ですか? イーストマンの訴訟の目的は、PlastiPure社およびその関連会社であるCertiChem社が商用材料に含まれるTritanに関して、自社の利益を確保するために紛らわしい虚偽の声明を行わないようにすることでした。陪審裁判において、PlastiPureやCertiChemの社長も科学者も、証言台に立った専門家も、宣誓した上で、Tritanが人体に有害と考えるとは述べませんでした。
陪審員は、「Tritanにはエストロゲン活性がある」「Tritanはエストロゲン活性があり危険である」としたPlastiPureおよびCertiChemの声明が紛らわしく虚偽であると判断し、裁判所は両社に対して、 いかなる商業的形態 においてもこうした声明を禁じる禁止命令を発行しました。
米国テキサス州オースティンの連邦陪審は2013年7月24日、PlastiPureおよびCertiChemに対してイーストマンに有利な判決を下しました。イーストマンは、訴訟の審理中に提出した証拠によってTritanに関して紛らわしい虚偽の声明が行われたことを実証し、Tritanの安全性が認められました。
Tritanの検査はどのような方法で行われたのですか? 正式に認可された大学と独立した第三者研究機関が、広く認められた科学的手法を用いて、Tritanにエストロゲン活性とアンドロゲン活性があるかどうか検査しました。実施された試験として、以下のようなものが挙げられます: -
定量的構造活性相関(QSAR:Quantitative structure activity relationship)1 モノマーのコンピュータモデリングにより、各物質の分子構造と、それらがヒトエストロゲンおよびヒトアンドロゲン(テストステロン)受容体に結合し、活性化するかどうかを評価します。
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受容体トランス活性化試験2,3 また、Tritanのモノマーと濃縮抽出物両方のエストロゲン活性とアンドロゲン活性について、2つの個別の研究所において、酵母と哺乳類細胞用いた試験法によるインビトロ評価を実施しました。これらの試験は、物質がホルモン受容体と結合し、遺伝子発現を誘導する能力を評価するものです。抽出物は、米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug administration)および欧州連合(EU)(欧州委員会規則No.10/2011)の食品接触による溶出の試験法に関する勧告書に従って作成されました。また、食器洗浄機の模擬環境(10 日間、70 ºC、Cascade® 洗剤溶液を使用)から得られた抽出物についても試験を行いました。
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競合的結合試験2 QSARやトランス活性化試験の結果、エストロゲン経路またはアンドロゲン経路による結合や遺伝子発現の証拠は一切見つかりませんでしたが、競合的結合法に基づく試験を第二段階として実施しました。この試験は、物質が特異的ホルモン受容体と特異的に結合する能力を確認するとともに、その結果を相対結合親和性を算出する際に使用することができます。
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子宮増殖アッセイ4 このインビトロ試験は、化学物質が実際の生体系においてエストロゲン反応を引き起こす可能性を評価する、より確定的な試験と考えられています。この試験はまた、米国環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency)の内分泌かく乱化学物質スクリーニングプログラムの第一グループ(Tier I Endocrine Disruption Screening Program)に含まれています。
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ハーシュバーガー試験5 この
インビトロ 試験は、化学物質が実際の生体系においてアンドロゲン反応を引き起こす可能性を評価する、より確定的な試験と考えられています。 この 試験はまた、米国環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency)の内分泌かく乱化学物質スクリーニングプログラムの第一グループ(Tier I Endocrine Disruption Screening Program)に含まれています。
相補的な複数の第三者試験において一貫して否定的な結果が示されたことにより、Tritanにはエストロゲン活性およびアンドロゲン活性がないことが歴然と実証されています。
1 ニュージャージー医科歯科大ロバートウッドジョンソン メディカルスクール ピスカタウェイ校 薬理学部(Department of Pharmacology, University of Medicine and Dentistry of New Jersey-Robert Wood Johnson Medical School, Piscataway)のWilliam Welsh博士が実施 2 CeeTox社(ミシガン州カラマズー)により実施 3 テネシー大学ノックスビル校、環境バイオテクノロジーセンター(Center for Environmental Biotechnology, University of Tennessee, Knoxville)により実施 4 WIL Research Laboratories, LLC(オハイオ州アシュランド)により実施
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